慶應で産みたい*つんブログ

36歳妊婦 日々迷走

元産婦人科看護師の経験をもって思うこと

私は結婚する10年程前まで総合病院の手術室に1年間、その前は産婦人科病棟に3年間いました

手術室では帝王切開、産婦人科では経腟分娩に多く携わってきました

そこで学んだこと・感じたことがたくさんあります 妊婦になった今思うことを少し書いてみます(^^)

(注⚠️あくまで私がいた病院のシステムです 全ての産院に共通するわけではありません)

 

《分娩》

助産師主体

産婦人科医師

児受け(ベビーキャッチ・産まれた赤ちゃんの担当)に看護師

必要時は小児科医師が入ります

《帝王切開》

産婦人科医師3名

機械出し看護師(手術室看護師)

外回り看護師(手術室看護師)

児受けに小児科医師

病棟の助産師が入ります

《病棟》

切迫流産や重症妊娠悪阻、切迫早産で入院している妊婦さんの対応は基本助産師 看護師でも妊婦さんを受け持つことはありましたが大体新生児室担当か他の婦人科疾患の患者さん担当です 

《新生児室》

赤ちゃんのバイタルチェック(体温・脈拍・心音・黄疸)

ミルクやお預かりした母乳を哺乳瓶で授乳

オムツ交換

沐浴

必要時の医療措置

分娩時の児受け

褥婦さんへの授乳指導

おっぱいマッサージ

沐浴指導などしていました

新生児は基本母子同室で夜間は新生児室でお預かり 朝バイタルチェックと沐浴を済ませてお母さんの病室へお連れしていました

 

看護師2〜5年目に念願の産婦人科配属でした 赤ちゃんは大好きだったのでとても張り切っていました

しかし、一通り慣れてきた頃から、分娩どころか妊娠も結婚の経験もない20代前半の私が妊婦さんや褥婦さん(産後のママさん)へ指導することにとても申し訳ない気持ちが出てきました

看護師として勉強し実習も経て国家資格は取ったけれど、経験がいちばんではないか…こんな若い子に指導されても説得力が無く妊婦さんは内心いやなのではないか…

と悶々としていました 私に思いつくことは少しでも多くの分娩に携わりたくさんのカルテや医学書を読むこと、知識を増やすしかありませんでした その悩みを1人の助産師さんにぽろっとこぼしたところ、ベテランの産科医師に話してくれたようです

数日後助産師さんは

「つんさん、あなたは分娩・妊娠の経験が無い 『経験が無い』ということは『先入観が無い』ということだ 

分娩を経験すると『こういう感じか』『これは大変だ・楽だ』『こうすれば良いんだ』『こうして欲しかった』という経験談が無意識に入ってしまう 未経験のまっさらな状態には戻らないよ 未経験を恥じることはない あなただから気付けること、寄り添えること、できることがある」

と言ってくれたと聞きました 私なんかが と思っていたので泣きました

それからは未経験であることを一つの特徴として自分を認め妊婦さんたちに向き合うことにしました 時には未経験なことをはっきり伝えます 経験者が良いという方もいらっしゃいました それはそれで良いのです 対応できる限りは出産経験のある看護師を連れてきました お産につく助産師・看護師は1名ずつとは限られません よっぽど病棟が忙しくなければ2、3名の助産師や看護師が携わります 妊婦さんがつけているNST(児心音とお腹の張りのモニター)の波形をナースステーションでみんなが見ながらお産の進行状況を把握し見守り、妊婦さんを応援しています

たくさんたくさんお産に立ち会わせていただき、全て違うお産でいつも感動して泣きそうになりました(泣くわけにはいかない)

中には辛いお産もありました 流産や死産です

その時はナースステーションの奥で助産師も看護師もみんな泣いていました 産婦人科の先生も 

でもいちばん辛い褥婦さんの前ではプロでいなくてはとみんなしゃきっと気持ちを切り替えて病室へ向かいます その時ばかりは寄り添えるのは経験者には敵わないと痛感しました 私はまだまだ力不足でお話を聞かせていただく方に徹しました それもとても大きな経験です

 

手術室では帝王切開に不安な妊婦さんのすぐそばにいる外回り看護師(患者さんに直接声かけしたり手を握ったりできる者)と器械出し看護師(手術する先生たちと同様の滅菌ガウンや手袋を装着して滅菌操作でメスなどを手渡す者)の両方に携わりました

帝王切開は予定のものはそんなに慌てずに進行しますが、緊急帝王切開の場合はとても早いです

産婦人科医から「緊急帝王切開をしたい」と手術室へ連絡が入ると動ける看護師は全員で準備します 普段から緊急帝王切開にそなえていますが、最優先に物事が進み予定の手術を遅らせてでも部屋を開けます

 「何番の手術室使う!?」「◯番を使おう  ▽時からの手術はオンコールに変更!主治医に許可取って準備は△番の部屋へ移動!」「◇◇が外回り◆◆が器械出しに入って」「先生誰入るの!?」「◎◎先生と◽︎◽︎先生、もう1人は分からない」「じゃあ手袋のサイズは●と◉!」「妊婦さん金属アレルギーだから」「▲▲使えないから…」

などなど 

帝王切開の理由や胎児の状態などに加え続々入ってくる情報がリーダー看護師から飛び交いみんな全力で対応します 普段は患者さんの手術室入室時間というものが決められますが緊急帝王切開に限っては妊婦さん側が用意出来次第いつ入室するか分かりません そのため手術室側は5分程でめまぐるしく準備されます

「妊婦さん入室ー!!!」

すごい速さでストレッチャーが入ってきます

「◯番の部屋です!」

麻酔がかかったのが確認できたら手術開始から5分経たずに胎児娩出 それはそれは早い 先生たちも器械出しも全力です それだけ命は重い

娩出後すぐに小児科医の処置を受け「ふにゃあ」と泣いた時、やっと緊張の糸がゆるみます しかし妊婦さん(ここからは正確には褥婦さん)自身もまだ危険だったりします 出血量によって輸血が必要だったり他の処置など諸々

一分一秒が長く感じる中、赤ちゃんも褥婦さんも最低限の状態まで安定!となるとやーーーっとみんなの力が抜けます 手術室全体の重力がふわっと軽くなる ホントに 3Gくらいあった気がする

時計を見ると連絡が来てから20分も経ってなかったりします そこからはしっかり止血確認してお腹を閉じ、大体手術自体は45分以内に終えます

その後は安堵感からなかなか力が入らなかったりしました そんな時はちょこっと休憩しおやつをつまんで切り替えます!次の手術も頑張るぞ٩( ᐛ )وと

 

 

さて、大変長くなりました 私の経験したお仕事は以上のようなことです(^^)

そして、ここからが書きたかったこと!遅い 笑

妊婦さんも赤ちゃんも命がけで全力投球してる 叫んだって喚いたって泣き言言ったっていいんだ!!それを聞くのが看護師の仕事のひとつ!!気を使わずにどんどん言って!!!

 です!

妊婦さんはお産に向けて不安がいっぱいだと思います 経腟分娩も帝王切開も経産婦さんも初産婦さんも

お産中、いかに陣痛が痛いのか妊婦さん自身しか分かりません しかし命がけなのは分かります なので、痛みや不安や恐怖で心の余裕が無くなって周りに当たってしまったり泣き言を言ってもいいと思っています (叫ぶと体力消耗するよ!とか言われますが 笑)

「痛ーい!」

「もうムリ!ムリムリムリー!」

「もうイヤだー!」

「もう辞めるー!明日にするー!」

「この役立たずー!」←立ち会ってる旦那さんへ

「いつ産まれるの!!??」

「まだそんなにかかるの!?」

「もうだめだぁあぁぁぁあ!」

分娩室で叫んでいた妊婦さんが翌日おしとやかに新生児室に登場され「どなた?え?昨日の方?」と思うことはありました だからなんだって話です!人相が変わるくらい必死なんですよ!!いいじゃないか!命がけで産んでるんだから!産めなかった人は1人もいません!

お産を見たことがない想像がつかない初産婦さんはとても不安だと思います 私も看護学生の時に初めて経腟分娩に立ち会ったことは記憶にはっきり残っています お仕事を通してたくさんみせていただきましたが、自分自身のお産がどうなるか知識が増えても不安はゼロではありません 誰よりも叫ぶかもしれない 夫に当たり散らすかもしれない それでも陣痛がどんなものなのか興味があります 今まで妊婦さんたちはどんな想いを痛みを経て出産されてきたのか 感謝を胸にお産に立ち向かおうと思います!

長々と読んでくださりありがとうございます(o^^o)皆さんの赤ちゃんが母子とも無事に産まれますように✨